法制審議会(法務省)で検討されている民法・不動産登記法の改正議論①
2021年2月号

所有者不明土地を円滑・適正に利用する仕組み
(1)共有関係にある所有者不明土地の利用(民法の共有制度の見直し)
共有物を利用するためには,共有者の全員を個別に探索して交渉する必要があり,共有者の一部が不明である場合には,その者の同意をとることができず,土地の利用・処分が困難になります
・不明共有者に対して公告等をした上で、残りの共有者の同意で土地の利用を可能にする方策
・共有者が、不明共有者の持分を相当金額の金銭を供託して取得するなどして、共有関係を解消する方策
(2)所有者不明土地の管理の合理化(民法の財産管理制度の見直し)
現在の財産管理制度では,財産管理人は,不在者等の特定の土地だけではなく,その余の財産も管理することとされているため,コストが高くなります
不在者等の財産の一部を管理する方策
(3)隣接所有者による所有者不明土地の利用・管理(民法の相隣関係規定の見直し)
ライフラインの導管等を引き込むために隣地を使用する際の規律については,民法に規定がなく、隣地が所有者不明状態となった場合に対応が困難です
近傍の所有者等が土地の管理不全状態を解消する方策
今後の実務に影響を与えることが予想される、所有者不明土地の発生を予防するための仕組みについては次号で解説します。