民法改正(「遺留分減殺請求」から「遺留分侵害額請求」へ)

2021年1月号

事例

被相続人:父(母は既に他界)   遺 言:「長男へ全財産を相続させる」
相 続 人:長男、次男の二人  相続財産:上場株式4,000万円のみ(含み益:1,000万円)相続税負担なし(基礎控除4,200万円以下)
遺留分侵害:次男は1,000万円の遺留分請求が可能

≪次男が長男に遺留分を請求する(内容証明で可能)と・・・≫

改正前 : 遺留分減殺請求(物権的効力説と呼ばれていました)

法律的には、上場株式に対して4分の1持分請求するという整理になります。
裁判で判決を受けると相続財産を共有することになり、請求する側もメリットがあるとは言えませんでした。そのため、金銭賠償を認めることがほとんどでした(価額弁償)。
本ケースでは、現金がないため、上場株式4分の1(1,000万円:含み益250万円)を次男に渡すとした場合、長男には税金負担はありません。

改正後 : 遺留分侵害額請求(金銭債権として請求)  

法律的には、次男は長男に対して1,000万円の金銭を支払うよう請求できることになりました(民法1046条1項)。
長男は次男に金銭債務(お金を支払う義務)を負っているが資金がないため、その代わりとして現物で弁済する(代物弁済)ことになります。
本ケースでは、現金がないため、上場株式4分の1(1,000万円:含み益250万円)を次男に渡すとした場合、長男は証券会社で上場株式4分の1を売却し、その資金を次男に譲渡したとして整理されます。
そのため、所得税(譲渡所得)約50万円(=含み益250万円×20.315%)の税金を支払う必要があります。

遺留分侵害が生じる遺言を作成する場合には、遺留分侵害額に対するだけの資金
準備をしておくと円滑な手続きとなります。

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