風薫るさわやかな季節となりました。今回は土地の活用についてのお話です。
特に使っていない「遊休地」をお持ちの方の中には、どのように活用したら良いのかわからない!
とお困りの方も多いのではないでしょうか?
「農地として使っていたけど体力的に続けるのが難しくなってきた…」
「そもそも自分の土地は上手く活用することができるのか…?」
「活用方法も沢山あるけどどうするのが一番良いのだろう…?」
「どういう活用方法が適しているのかわからなくてずっと税金だけ払い続けている…」
こういったお声もよく耳にします。
今回の知っトク情報では遊休地活用を検討するうえで押さえておきたいポイントや、実際に遊休地を活用されたお客様の声 などもご紹介していきます。
コラムを読みながら、ご自身が所有されている遊休地がどのように活用できそうか、是非考えてみてください!
遊休地の活用方法
それでは、遊休地活用にはどのようなものがあるのでしょうか?
今回は活用方法を大きく5種類に分けてそれぞれの特徴をご紹介していきます。
自分がお持ちの土地に適したものはどれかを考えながら読んでみてください!
- 借地
- 駐車場
- 太陽光発電
- 一般賃貸
- 福祉施設
借地
1つ目は、土地だけを利用したい人に貸しだして毎月の賃料を得る 、借地という方法です。
事業用定期借地、建物譲渡特約付借地など種類はいくつかありますが、いずれも10~50年程度の長期間の契約になります。
借地のメリット
借地での遊休地活用の最も大きなメリットは、建物を建てたりする必要がなく、
初期投資がかからないにも関わらず、長期にわたって安定して地代収入を得ることができる 点です。
さらに相続税評価においては「賃宅地」という扱いになり、更地の状態よりも評価が下がるため節税にもなります。
また、定期借地契約の場合期間が終了した際には土地を元通りにして返却してもらえます。
借地のデメリット
デメリットは、契約した期間、土地を自由に使うことができなくなってしまう という点です。
正当な理由がない限り、契約を途中で辞めることもできません。ですから、たとえば急にまとまったお金が必要になって土地を売りたいと思っても、
契約中は売却することができません。
そのため、将来的に土地の売却をする可能性がある場合には、借地にすることはおすすめできません。
また、地代に関しても当然建物を建てて貸す場合よりも低くなりますので、収益という点ではあまり良くありません。
借地で活用するのに適した土地
借地は比較的どのような立地でも問題なく活用が可能です。
投資の必要がない代わりに収益性も良くありませんが、
資金力に不安があるが今後も土地を所有し続けたい という方には適しています。
駐車場
2つ目は駐車場での遊休地活用です。
駐車場の中でも、①月極駐車場、②コインパーキングと種類が分かれます。
月極駐車場は、月単位で駐車スペースを貸し出すやり方です。
砂利敷きでも問題がないためアスファルト舗装の必要がなく、専用機器のリース代等もかかりません。
そのため借地と同じく初期投資はほぼかけずに活用が可能です。
コインパーキングは、時間単位で駐車スペースを貸し出す方法です。
専用の機器や舗装が必要になるため、月極駐車場よりも初期投資はかかりますが、
1時間あたり、30分あたりといった形で料金を設定するため、駅や商業施設の近くなどの好立地では高収益が期待できます。
駐車場のメリット
駐車場は、アパートなどと異なり建物を建てる必要がないため初期費用を抑えることができ、
すぐに始めやすい というメリットがあります。
狭小地や変形地でも活用が可能であり、場所に制限されづらい活用方法 です。
また、地震などの自然災害が起きた場合もダメージを受けづらいため、比較的自然災害に強いと言えます。
駐車場のデメリット
一方で、建物を建てるような活用方法と比較すると税金負担が大きい というデメリットもあります。
先程ご紹介した住宅用地の特例や貸家建付地は駐車場には当てはまりません。
そのため、賃貸住宅や福祉施設を建てた場合と比較すると、固定資産税・相続税の負担が大きくなります。
また、駐車場はアパートのように2階建てや3階建てではないため土地の利用効率は低く、収益性も低くなってしまいます。
駐車場で活用するのに適した土地
駐車場は狭小地や変形地でも活用が可能で、土地の大きさや形にはあまり左右されませんが
立地は稼働率に直結するため非常に重要 です。
月極駐車場は自宅や職場付近で借りる方が多いため、住宅街やオフィス街の近くにある土地などが適しています。
コインパーキングは用事がある時に一時的に利用するものですので、駅や繁華街、商業施設の近くなどで需要が高いです。
建物を建てるよりも費用が掛からず気軽に始められる活用法ですので、
立地が良い土地をお持ちで初期投資は抑えたい という方にはおすすめです。
太陽光発電
3つ目は太陽光発電です。
自分の土地に太陽光パネルを設置して発電し、発電した分だけ収入を得ることができます。
太陽光発電のメリット
太陽光発電では、FIT制度(固定価格買取制度)によって20年間は電力会社が同じ価格で確実に
電力を買い取ることが保証されているため安定した収入を確保 することができますし、
一般的な賃貸と比較すると手間がかからず維持費も安く抑えられます 。
また一般的な賃貸での活用がしづらい郊外の土地を活かすことができるという特徴があります。
初期費用は数百万円かかりますが、建物を建てるのに比べれば初期投資を抑えることができます。
太陽光発電のデメリット
遊休地活用として太陽光発電を行う場合、FIT制度の適用期間は20年で終了しますので、それ以降の対策が必要になります。
期間終了後も売電を続ける、もしくは設備を廃棄して再び活用するなど、出口戦略 を考えておかなければなりません。
場合によっては、近隣の方から嫌がられる場合もありますので、住民間トラブルの種になってしまう可能性も否めません。
太陽光発電で活用するのに適した土地
太陽光発電は他の活用方法とは異なり立地はあまり重要ではありません。
郊外で日当たりが良い地盤の固い土地 が最適です。
また、広い土地で太陽光発電をする方がスケールメリットを活かすことができます。
地価が高い土地ですと固定資産税の評価額も高くなってしまいますので、田舎に適した活用方法 と言えます。
一般賃貸
4つ目は一般の賃貸住宅です。
一般賃貸は自分の土地にマンションやアパート、一戸建てなどを建設して家賃収入で収益を得ます。
下記のように様々な種類があります。
- アパート・マンション
- 戸建賃貸
- ガレージ付き賃貸
- メゾネット賃貸
- シェアハウス
一般賃貸のメリット
一般賃貸のメリットは、入居者が居れば安定して収入を得ることができる 点です。
また初期費用が掛かる分、賃料収入は高くなります。
先程触れた、住宅用地の特例と貸家建付地に該当しますので、節税にも繋がります。
また戸建賃貸などは狭小地でも活用が可能ですし、逆に大きい土地に複数棟建てて相続の際に分割しやすくするといったこともできます。
一般賃貸のデメリット
一般賃貸デメリットは、空室や家賃下落のリスク がある点です。
立地や周辺環境によっては年数が経つと空室が出てきてしまって収入が減ったり、家賃を下げざるを得ない状況に陥ったりといった危険性があります。
また、入居者募集や家賃、建物の管理、クレーム対応など、オーナー側の手間、もしくはそれを委託するための管理費がかかります。
入退去時のリフォームや修繕費など、ランニングコストもかかってくるためそのあたりも加味してしっかり長期的な計画を立てる必要があります。
一般賃貸で活用するのに適した土地
一般賃貸での活用をする場合、最も大切になるのが立地 です。
たとえば単身者向けアパートであれば駅近、ガレージ付き賃貸であれば車移動が主流なエリアといったように、
入居者属性を考慮する必要があります。
また、そのエリアの需給バランス も重要になってきます。
既に同じような物件が沢山あるエリアですと入居者募集の競争が激しくなってしまいます。
そのため立地による判断に加えて、市場を理解することが大切です。建物を建てるため初期費用は掛かりますが、その分収入も大きくなります。
長期的な計画を立てて判断する必要がありますので検討する際には、エリアに詳しい不動産の専門家によく相談しましょう。
福祉施設
5つ目は福祉施設です。高齢者向けのものや障がい者向けのもの、保育園のような児童向けのものと様々な種類があります。
福祉施設は建物基準が一般的なものよりも厳しい場合が多く 、居室の広さや廊下幅などに注意が必要です。
福祉施設のメリット
福祉施設の最大のメリットは、サービスを運営する運営会社との賃貸借契約になるため、
家賃収入が入居率に左右されず、長期安定収入が見込める という点です。
また、入居者の多くが送迎サービスを利用する場合が多いため、
アパートやマンションほど立地が良くなくても活用が可能 です。
入居者募集や家賃回収、建物の管理などの、一般の賃貸で必要になる管理業務は運営する福祉事業者が行うため、オーナー側の管理の手間がかからない というメリットもあります。
さらに一般の賃貸と比較すると、入退去時のリフォームや修繕費のランニングコストを抑えることができます。地域の高齢者や障害をお持ちの方が利用する施設になるため、地域貢献にも繋がります。
福祉施設のデメリット
福祉施設のデメリットは、福祉のルール上建物基準が設けられているため、
自由度が低く建築コストが高くなりやすい 点です。
たとえばエレベーターやスプリンクラーを設置する必要があったりと、特殊な設備が必要な施設もあります。
また、福祉施設の基準に合わせて建物を建てると他の用途での利用は難しくなってしまうため、いかにしっかり運営してくれる信頼できる福祉事業者を見つけるか が重要となります。
福祉施設で活用するのに適した土地
福祉施設はある程度の土地の大きさが求められます。
特に住まい系の建物に関しては小さいものでも60坪程度の広さが必要 です。
建物の規模が大きい分初期投資はかかりますが、長期的に安定して家賃収入が入るため、収益性を求める方にもおすすめです。
また立地についても比較的自由度が高いため、アパートなどの一般の賃貸物件をするのは不安な土地でも活用できます。
地域社会に必要な施設となりますので、遊休地活用を通じて社会貢献をしたいというオーナー様には最適な活用方法だと言えます。
遊休地を放置しておくデメリット
遊休地はそのまま放置しているとトラブルに発展したり、不利益を被る ことになってしまう場合もあります。
ここでは遊休地を活用しないことのデメリットを整理してみます。
税金が高くなる
まず大きなデメリットと言えるのが、固定資産税・都市計画税などの税金 です。
不動産を所有しているだけで、毎年評価額の1.4%の固定資産税を支払わなければいけませんし、場所によっては都市計画税も課せられます。
賃貸住宅や福祉施設などを建てて活用をすると、「住宅用地の特例」という制度により、この固定資産税が大幅に軽減します。
たとえば200㎡以下の土地であれば、住宅を建てると固定資産税は1/6になります。
逆に言えば、更地になっていると、住宅が建っている土地と比べて6倍の税金を支払っているということになり、その分毎年マイナスになっていってしまいます。
そのため、住宅を建てて人に貸すことができれば、もちろん建築費はかかりますが、
家賃収入が得られますので長期的な収支は良くなります。
近隣トラブルの危険性
遊休地をしっかり管理せず放置したままにすると、
当然土地は荒れてしまい、周囲の住人の方の迷惑 となってしまう場合があります。
雑草や害虫の発生、不法投棄といった問題が発生したり、不良のたまり場になるなど、治安悪化の原因になってしまうことも考えられます。
こういった事態を避けるためには土地の管理 が必要になりますが、遊休地が自宅近くでご自身で管理をする場合には手間と時間がかかりますし、遠方にあって管理会社に委託するとなると費用がかかってしまいます。
遊休地を活用するメリット
それでは逆に、遊休地を活用することでどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
賃料収入が得られる
一番分かりやすいメリットは、賃料が収入として入ってくるという点です。
土地を所有しているだけですと、先程も出てきたように税金や管理費を支払わなければいけないので毎年マイナスが発生します。
しかし何らかの形で土地を活用して誰かに貸すことができれば、毎月賃料を得ることができ、税金を支払った上で手元に利益が残ることになります。
相続対策ができる
2点目は、相続対策になるという点です。
これには相続税評価額を下げる ということと、マイナス資産を作る という2つの側面があります。
まず、遊休地をそのままにしている場合、賃貸住宅を建てて人に貸している場合と比較して相続税評価額が高くなってしまいます。
これは、貸家建付地と呼ばれる、人に貸す建物が建っている土地は所有者の利用が制限されることで、相続税評価が下がるためです。
貸家建付地には、一般的なアパートやマンションなどの賃貸住宅だけではなく、福祉施設や店舗、テナントビルといった建物の敷地も含まれます。
さらに、活用をする際に金融機関から建築費を借り入れる、つまり借金によってマイナス資産をつくるということになります。
相続税は、プラスの資産からマイナスの資産を差し引いて正味の相続財産を計算し、これを債務控除と呼びます。
実際に、資産を多く残して亡くなったとしても、住宅ローンなどのマイナス資産が沢山あった場合には、結果的に相続税が発生しないというケースもあります。
相続税対策を考える際には、相続財産の金額が大きくなればなるほど相続税の負担が大きくなるため、
債務控除をしっかり行うことが重要です。
これらは将来的に相続人となるであろうご家族の方とよく相談されることをおすすめいたします。
活用の仕方次第で社会貢献に繋がる
遊休地活用のひとつとして、福祉施設を建てて貸す、という方法があります。
福祉施設とは、たとえば高齢者施設や医療施設、障がい者施設など、社会的に地域に必ず必要になるようなものですので、
こういった建物を建てると地域社会への貢献 に繋がります。
遊休地の活用を考える際に重要な3つのポイント
まず、遊休地の活用を検討する際に確認するべきポイントを3つご紹介します。
所有している土地に関する規制
遊休地活用を考える際には、様々な法令を考慮する必要があります。
不動産に関わる法律は非常にたくさんあり、建築基準法、都市計画法、借地借家法などが関わってきます。
所有している土地によっては、希望する建物の建設ができない 場合もあります。
たとえば、土地はそれぞれ都市計画法によって使用できる用途が定められています。
そのため、どこでも好きなものを建てられるというわけではありません。
もし所有されている土地が第一種低層住居専用地域だった場合、店舗や事務所などのテナントや宿泊施設、娯楽施設は建てることができません。
ですから、遊休地を活用しようと考える場合には、まず最初にご自身が所有されている土地の用途が何なのか、そして何を建てることができるのかを確認することが大切です。
土地の状態
活用を考える上では、その土地の形状や大きさも大切になってきます。
たとえば30坪の土地に、老人ホームのような大きな施設を建てるのは現実的ではありません。逆に120坪の土地を駐車場にする場合、30台ほどの車が利用できる規模になりますので、
それほどの需要があるのかを考える必要があるでしょう。
また土地の形によっては、建物を建てる際に道路と接する面積が足りない、というような問題が発生する場合もあります。
こういった点については、建築・不動産の専門家に相談してみましょう。
周辺環境
その土地の周辺がどのような環境なのかによって、適した活用方法も変わってきます。
たとえば、駅近くの立地が良い土地であればアパート・マンションといった賃貸物件や、店舗としての活用が考えられます。
逆に、多少交通の便が悪い場所であっても、福祉施設の建設には適している場合があります。
また、どんなに立地が良くても既に周りに沢山賃貸物件が建っている場合には、入居者を集めるのが大変になってしまいます。
これは駐車場やトランクルームといった活用方法を検討する場合も同様です。したがって、そのエリアに需要があるのか?という点を考慮する必要があります。
まとめ
今回のコラムでは「遊休地の活用」というテーマで概要から事例までをお伝えいたしましたがいかがでしたでしょうか?
不動産の知識もなく、なかなか活用に踏み切れずそのままになってしまうというケースもよく出会いますが、
長期的に考えると活用をする方がオーナー様やそのご家族にとっても良い結果になる場合が非常に多い です。
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