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アーバンニュース

2017.7月号 預貯金が遺産分割対象に(最高裁の決定)

これまで遺産分割の対象にならなかった預貯金が、遺産分割の対象となるという決定が最高裁判所でなされました。したがって、これからは遺産分割協議書で預貯金を分割することが必要になります。
平成28年12月19日、最高裁大法廷において、これまでの判例を変更し、「預貯金も遺産分割の対象」という判断が下され、「原決定を破棄する。本件を大阪高等裁判所に差し戻す。」との決定が出ました。新聞報道やニュースなどでも大々的に取り上げられたこの事件の検討をしてみたいと思います。

■従来の扱い

従前、最高裁判所の判例上、被相続人の預貯金債権は、以下のように扱われていました。
1.相続開始と同時に当然に分割され(「可分債権」という)、各共同相続人が取得する。
2.相続人間で遺産分割協議の対象に含める合意をしない限り、遺産分割の対象にならない。

今までの判決経緯:
一審の大阪家裁と二審の大阪高裁は、従前からの判例に従い「預金は相続によって当然に分割されるので、遺産分割の対象外」として、遺産分割を認めませんでした。

■今回の決定

預貯金債権は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象になりました。

■事件の概要

被相続人Aの法定相続人はBとCです。
Aは生前、Bに1,000万円を特別受益として贈与していました。その後、Aが亡くなり、預貯金・現金合わせて3,000万円が相続財産として残されました。

Aの財産のうち、本来Bが相続で取得できる財産は次の通りです。

しかし、従来の扱いによると、BはAの2,500万円の預金のうち法定相続分の2分の1にあたる1,250万円については、可分債権として銀行に直接払い戻しを請求できるため、1,250万円を取得することができます。
BがAの銀行預金を遺産分割の対象とすることを拒んだ場合、Bは本来取得できる財産(2,000万円)以上の財産(1,000万円(特別受益分)+1,250万円)を取得することができてしまいます。

他方で、本来Cは
(2,500万円+500万円+1,000万円)×1/2 = 2,000万円
を取得できたはずであるのに、預金残高の1,250万円と現金500万円の合計1,750万円
しか取得できなくなってしまいます。

そこで、今回の最高裁の決定では、預貯金も遺産分割の対象とすることで、Bは特別受益1,000万円のほかに1,000万円のみを、Cは2,000万円を相続できることとしました。

■ポイント
従来は、合意済みの遺産分割協議書がなくても、金融機関に対して法定相続分の払い戻しを請求可能であったため、不都合が生じる場面がありました。今後は遺産分割協議書で預貯金を分割対象とすることが必須となり、本ケースのような不都合が生じることはなくなります。
  

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