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節税目的の養子縁組に関する検討(最高裁判決)

平成29年1月31日、最高裁第三小法廷において、「節税目的の養子縁組は無効とは認められない」という判決が出ました。新聞報道やニュースなどでも
大々的に取り上げられたこの事件、法律面・税務面から検討してみたいと思います。

■事案の概要
親族関係は以下の通りです。


父(配偶者である母は既に他界)、長男、長女、二女の家族構成で、父の相続人は3人です。父は生前、税理士から「孫を養子にすると相続税が少なくなる(*1)」という提案を受け、長男の子(孫)を養子にしました。父の相続発生後、長女と二女が、「相続税の節税目的だけなので、本当の意味で養子縁組をする意思はない」として、養子縁組の無効を訴えた事案です。

(*1)
法定相続人を増やすことで相続税の基礎控除額を増額できます。
基礎控除額=3,000万円+(法定相続人数×600万円)

■判決

判決文の要約は以下の通り。

相続税の節税のために養子縁組をすることは、基礎控除額の増加などの節税効果を発生させることを動機として養子縁組をするものにほかならず、相続税の節税の動機と縁組をする意思とは、併存し得るものである。したがって、専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても、直ちに当該養子縁組について民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」に当たるとすることはできない。

つまり、「民法上」は「相続税の節税目的であっても養子縁組は認められる」ことを意味します。

■税務上の規定

相続税法第15条2項では、被相続人に実子がいる場合は1人、被相続人に実子がいない場合には2人までを養子としてカウントできることになっています。つまり、民法上は節税目的で養子縁組を何人でも認められることになっても、相続税計算上は上記規定により制限されることになります。

<ここに注意!!>

問題なのは、相続税法第63条の存在です。

第63条 第15条第2項各号に掲げる場合において当該各号に定める養子の数を同項の相続人の数に算入することが、相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合においては、税務署長は、相続税についての更生または決定に際し、税務署長の認めるところにより、当該養子の数を当該相続人の数に算入しないで相続税の課税価格(第19条または第21条の14から第21条の18までの規定の適用がある場合には、これらの規定により相続税の課税価格とみなされた金額)及び相続税額を計算することができる

つまり、今回の最高裁判決で民法上は「節税目的」の養子縁組は有効と判示されましたが、税法上は税務署から否認される可能性があるということを意味します。このことは十分注意をしていただく必要があります。

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