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アーバンニュース

2015.05月号 平成27年度与党税制改正大綱③(「保険契約の異動調書」の創設)

皆さんが契約している生命保険は、死亡保険金等が支払われた場合に、各生命保険会社から税務署に「支払調書」が提出されます。税務署はその情報を基に納税者の申告漏れを指摘します。しかし、契約途中で契約者変更がされた場合は何も提出されず、税務署はその事実を把握できないことが問題となっていました。今回の「保険契約の異動調書」の創設はこの問題を是正するものです。

 

1.現在の制度と問題点

現在、主に次の場合に各生命保険会社から税務署に「支払調書」が提出されています。

  • 1回の支払金額が100万円を超える死亡保険金、満期保険金、解約返戻金等が支払われた場合
  • 同一人に対して年間20万円を超える年金給付金が支払われた場合

<問題点1> 保険契約者死亡による契約者変更に関する問題

契約者≠被保険者のケースで、契約者が死亡して契約者を変更した場合、その時点での解約返戻金相当額が相続財産として「相続税」の課税対象となります。しかし、保険金が支払われた訳ではないため支払調書が提出されず、税務署は相続税申告漏れの把握ができないのです。

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本来は、今まで父が支払った保険料の解約返戻金相当額が父の相続財産となるため、「相続税」の課税対象となるはず・・・。

しかし、税務署にはその情報が届かず、相続税申告漏れの指摘ができない。

 

<問題点2> 保険契約者生存中における契約者変更に関する問題

契約者を変更した後に死亡保険金・満期保険金・解約返戻金を受け取った場合、変更前の契約者が支払った保険料に対応する受取金は「贈与税」の課税対象となります。しかし、支払調書は支払時点での契約内容で作成されるため、契約途中で契約者の変更があったという事実を税務署が把握できず、贈与税の課税が見過ごされてしまうのです。

un201505_02本来は、父が支払った保険料の受取金相当額が、父から長男への贈与となり「贈与税」の対象となるはず・・・。

しかし、税務署に提出される支払調書は<契約者:長男、 解約返戻金受取人:長男>であり、まるで長男がずっと保険料を支払い、長男のもとに解約返戻金が入ったように処理されてしまう。長男の「所得税」(一時所得)が課せられる可能性が高くなり、本来の課税(贈与税)と異なる。

 

2.保険契約の異動調書【創設】

納税者自らが申告するか税務署が税務調査で見つけない限り、契約途中での契約者変更の事実を正しく把握できないこのような現状を打破するため、「保険契約の異動調書」の制度が創設されることになりました。

以下は平成30年1月1日以降の契約者変更に適用されます。

  1. 保険会社等は、生命保険契約等について死亡による契約者変更があった場合には、死亡による契約者変更情報及び解約返戻金相当額を記載した調書を、税務署長に提出する。
  2. 生命保険金等の支払調書について、保険契約の契約者変更があった場合には、保険金等の支払時の契約者の払込保険料等を記載する。

今までは契約者変更による課税逃れが横行していましたが、「保険契約の異動調書」の創設により、税務署は契約者変更による相続税および贈与税の課税対象を正しく把握できるようになります。

会社→個人、個人→会社への契約者変更で会社が絡んだ場合には適正な会計処理が行われる可能性が高いのですが、問題となるのは個人→個人の契約者変更の場合で、当事者が予期していなかった税負担に困惑するケースが生じると思われます。

生命保険の契約者変更の際の相続税/贈与税の申告漏れにご注意ください。

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