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アーバンニュース

2018.7月号 不動産購入による相続税対策に待った!

国税不服審判所からの裁決公表の意味

そもそも公表裁決は全裁決事例の数%程度しかありません。膨大な裁決例の中でも「先例性」があるもので、今後注意をしなければならない、ある意味、歯止め的な要素があるのです。

平成29年5月23日 裁決例

■事案の概要

相続人らが相続により取得した財産の価額について、財産評価基本通達に定める方法により評価し、相続税の申告をしたところ、税務署は一部の土地・建物の価額につき「著しく不適当」とし、総則6項により不動産鑑定評価額(時価)で更正処分等を行った。これに対して、相続人らが処分の全部の取消しを求めた。     

■争点

1.評価通達に定める評価方法により算出した価額が「著しく不適当」と認められる特別の事情があるか否か。 
2.更正処分等を取り消すべき理由に不備があるか否か。

■経緯

被相続人は、生前、R銀行に相続・事業継承対策についてを相談し、相続税の負担軽減を目的とした不動産(マンション2棟)購入資金として銀行から借入を行った。その後、相続が発生した。相続税の申告時、被相続人が購入したマンション2棟の相続税評価額は取得価格の30%未満であった。


                             
■認定事実

1)孫を養子縁組した時期とR銀行に相続・事業継承の相談をした時期が近接している。
2)被相続人はR銀行から診断結果の報告を受けた際、借入金により不動産を取得した場合の相続税試算及び相続財産の圧縮効果についての説明を受けていた。
3)被相続人がR銀行に借入れを申し込んだ際、R銀行の担当者は「貸出稟議書」を作成し、当該書面には「採上理由」として2回目の不動産購入につき、相続対策の
ため不動産購入を計画、購入資金につき借入れの依頼があった旨の記載 があり、被相続人は借入れを申し込むに際し、R銀行との間で、その目的が相続税の負担を軽減
を目的とした不動産購入の資金調達にあるとの認識を共有していた。
4)R銀行は、被相続人が購入した2物件につき抵当権を設定するとともに、被相続人所有の同族会社が所有する不動産についても抵当権を設定した。

■審判所の判断

不動産の取得から借入までの一連の行為は、被相続人が多額の借入金により不動産を取得することで相続税の負担軽減を主たる目的として行ったものであり、
他の納税者との間での租税負担の公平を著しく害し、相続税の目的に反するものである。よって、審査請求はいずれも理由がないことから、これらを棄却する。

 

今後の留意点
1)物件購入とその他の節税対策との実行タイミングの近接性    
2)相続対策の提案書(銀行の「貸出稟議書」)等のエビデンスの存在
3)抵当権設定時における別途担保の存在            
4)物件保有期間
これらを総合的に勘案して、不動産購入による相続税対策を実施しなければ、否認リスクが生じることがあります。

                                                               

 

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