ひよこ土地活用

アーバンニュース

2018年6月号 海外不動産を用いた節税対策に待った?

■節税スキームの概要

中古建物に投資して多額の減価償却費を計上し、不動産所得について損失を発生させ、他の給与所得・事業所得等と損益通算して所得全体を圧縮するという節税スキームが存在します。この節税スキームは海外中古建物を投資対象とすることも可能です。

《損益通算が可能》
 日本の居住者は、国外で保有する不動産所得についても、所得税を課税されます(全世界所得課税)。そして、国外での不動産所得に損失が発生した場合には、国内の他の所得と損益通算をして、所得全体を圧縮することが可能となります。

《中古建物の減価償却年数は簡便法で》
法定耐用年数に代えて、特殊な計算式を用い使用可能期間年数を見積もる方法です。簡便法は海外中古建物にも同様に適用されます。簡便法を用い減価償却年数計算をします。

【法定耐用年数をすべて経過した中古建物の簡便法による耐用年数】

法定耐用年数 × 20 / 100

10年以上使える建物の価値を数年でゼロにして書類上の損失を発生させるという節税方法です。
購入した建物を貸し出し、賃料で収入を得つつ、賃料収入を上回る減価償却費を計上して損失を出します。
国内の他の所得と損益通算をして所得税額が減少します。

※例えば、国外の築22 年の木造戸建てを1 億円( 建物8000 万円・土地2000 万円)で購入し、6 年目に1 億円で売却した場合

■会計検査院の指摘
 会計検査院は、海外中古物件に「簡便法」をそのまま適用することに疑問を呈しています。

理由①日本では、住宅流通戸数のうち中古住宅の流通が14.7%に過ぎないのに対し、アメリカ合衆国では83.1%に上ります。
理由②日本の住宅が平均約32年で滅失するのに対し、アメリカ合衆国の住宅は約66年、英国は約80年となっていて、中古住宅と新築住宅の価格差が小さい状況です。

「国外に所在する中古等建物については、簡便法により算出された耐用年数が建物の実際の使用期間に適合していない恐れがあると認められる。」と述べています。

■今後の方向性
過去の例をみると、会計検査院からの指摘後数年間に税制改正が行われる事実が読み取れます。したがって、今回の会計検査院指摘(平成27年度決算検査報告)の事実を鑑みれば、今後の数年間で海外不動産を使った節税スキームに規制が入ると予想されます。

1.小規模宅地等の特例(大幅な規制) 平成17年度決算検査報告(平成18年度提出)  → 平成22年度税制改正
2.消費税の自動販売機節税規制  平成20年度決算検査報告(平成21年度提出)    → 平成22年度税制改正
3.定期金の評価改正       平成18年度決算検査報告(平成19年度提出) → 平成23年度税制改正
4.相続税の取得費 加算特例規制 平成24年度10月19日意見表示           → 平成26年度税制改正
 
  

 

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